「雪のひとひら」を読んで・・・ [こころ(雑感)]
song4uさんの雪層の記事のコメントでポール・ギャリコの「雪のひとひら」みたいだ
と書いてあったので検索したら、急に読みたくなって、密林へポチッ
実は私、パソコンは見るけど、本は読むのが遅いのと目が悪い事もあり 殆ど読まない
そんな私が久しぶりに読みたいと思った本。読んでから雪を見る目が変わって来た
あらすじは雪の結晶である「雪のひとひら」が雲から地上に降りて、色んな体験をする。
擬人化した女性の人生を「雪のひとひら」に同化させ、生まれてから消えて行くまで
の体験した事、心模様をフォンタジ―タッチで淀みなく淡々と描いている。
絵本や動画のように次から次へと瞼に浮かんで想像を膨らませるポール・ギャリコの世界。
雪のひとひらが生まれて来て、伴侶と出会い、子供を育て、時と共に消えて行く。。。
その過程の今最後に近い地点に来ている自分と重ね合わせ、同じ思いを感じた。
自分は何のために生まれて来て、どんな役目を神から与えられたのか
思いつきでいろんな事をしてるといつも無駄な事をしてるのではないかと思ってたけど、
この本では、「無駄な事は一つもない」と・・・
どんな偉い人でも、貧しい人でも皆同じなのだと・・・
言葉として一度も出て来ないけど、神の存在を何気に感じさせる優しさに溢れ、
これから来る死への恐れをフワッと和らげてくれるような本だった。
この本を読んでから、犬の散歩に行ったら、見る物すべてに命が宿っている気がした。
舞い落ちて来る雪を見ると、「雪のひとひら」がいっぱいいると感じるし、
雪壁を見ると、押しつぶされた雪のひとひらが何気にまりんと私を見てると思う。
新雪を被って、少しだけ見える古い雪層を見ると、覗いて見てるような・・・
歩く道々の雪や木にふんわり乗っかている雪も・・・
屋根雪の雪層やいろんな方向を見てる針のようなつららも・・・
直径10㎝以上ある巨大なツララ軍隊も・・・
止めどもなく振り続ける雪も・・・
今まではとても厄介な雪だと感じていたのに、この本を読んでから、皆この雪には
名前があり、心があり、使命があり、生きていて、私を見守っていてくれているんだ
と思えて来たから不思議だ雪は厄介な物ではなく、偉大な万物なのかも・・・
そう思うと、周りの雪や雪壁が大勢の人の集まりに見え、私は一人で犬の散歩を
してるのではなく、渋谷の交差点にいるのと同じ状態なのかもと思えて来たし、
応援されている選手のようにも感じた温かい気持ちになった。
ちょっと見方を変えるだけで、嫌な物を味方に変える術をこの本で学んだ気がする。
刺激があるわけではないので、別に貪るように読むストーリーではなく、
淡々と淀みなく流れる美しさと誠実さが妙に性に合って、好きだった。。。
生を受けた以上死を迎える。でも当たり前でも、怖かったりする。
見えないけど、何気に見守ってくれる神の存在。この世での任務を終えた雪のひとひらに
「ごくろさまだった、小さな雪のひとひら。さぁ、ようこそお帰り」という最後のフレーズ
が、迎い入れてくれる安らぎの帰る場所があるのだと・・・安心する。
この最後の言葉が、これから自分に訪れる死への恐れは何気に少し和らぐのだった。
自然から見たら、私たちはちっぽけな点、雪と同じ存在なのだと・・・
共存して生きて行くのが自然に逆らわない生き方なのだと思った。